2026-08-06 / お金の計算
繰上返済は期間短縮型と返済額軽減型のどちらが得か
住宅ローンの繰上返済には2つのやり方があります。よく「期間短縮型のほうが得」と言われますが、それは利息の削減額だけを見た話です。手元のお金と今後の支出を含めて考えないと、後で困ることがあります。
先に結論
利息の削減額だけを比べれば、ほぼ確実に期間短縮型が大きくなります。ただし毎月の支払額は変わりません。教育費の山が来る、収入が下がる見込みがある、といった事情があるなら、削減額が小さくても返済額軽減型を選ぶ理由になります。
2つの違い
期間短縮型は、返した分だけ返済の期間が短くなります。毎月の支払額は変わりません。返済が早く終わるぶん、利息が発生する期間そのものが短くなるので、削減額が大きくなります。
返済額軽減型は、期間はそのままで毎月の支払額が下がります。削減できる利息は小さくなりますが、家計の負担がすぐ軽くなります。
同じ100万円を返しても、効き方がまったく違います。
なぜ期間短縮型のほうが利息削減額が大きいのか
利息は「残っている元金 × 金利 × 期間」で決まります。期間短縮型は期間そのものを削るので、後半に発生するはずだった利息がまとめて消えます。返済額軽減型は期間が変わらないため、削れるのは元金が減ったぶんの利息だけです。
差がどれくらいになるかは、金利・残高・残り年数で変わります。一般論ではなく、自分の条件で両方を計算して金額で比べるのが唯一の正しい方法です。
早いほど効く
繰上返済は時期がすべてと言ってよいほど、実行するタイミングで効果が変わります。返済の初期は、毎月の支払いのうち利息の割合が高く、元金がなかなか減りません。この時期に元金を直接減らすと、その後ずっと発生するはずだった利息が消えます。
逆に、返済の終盤ではほとんどが元金の返済になっているため、繰上返済しても削れる利息は多くありません。
手数料を必ず引く
繰上返済には手数料がかかることがあります。金融機関や手続き方法(窓口・ネット)によって、無料から数万円まで幅があります。
削減できる利息 − 手数料が実質の得です。少額を何度も繰上返済する場合、手数料のほうが大きくなって損をすることがあります。手数料が有料なら、ある程度まとめてから実行したほうが有利です。
やる前に確認すべきこと
- 生活防衛資金を残しているか。繰上返済したお金は原則として引き出せません。失業・病気・修繕に備えて、生活費の半年分程度は手元に残すのが一般的な考え方です。
- 住宅ローン控除の期間中か。控除を受けている間は、繰上返済で残高が減ると控除額も減ります。控除率と金利を比べて、控除期間が終わってからにするほうが有利な場合があります。
- ほかに金利の高い借入がないか。カードローンや自動車ローンのほうが金利が高いなら、そちらを先に返すほうが得です。
- 団信の保障を失うことになるか。期間短縮型で完済を早めると、団体信用生命保険の保障期間も短くなります。
変動金利なら、5年ルールも一緒に見る
変動金利型の場合、金利が上がっても毎月の返済額の見直しは5年ごと、見直し幅も直前の1.25倍までという制約があることが一般的です。この仕組みでは、返済額に収まりきらない利息が未払利息として繰り延べられます。
繰上返済を検討するときは、この未払利息が発生していないかも合わせて確認してください。詳しくは5年ルールと未払利息の記事にまとめています。
両方を同時に計算して並べる
カエセルは、期間短縮型と返済額軽減型を同時に計算して並べます。繰上返済の画面をひらくと、いちばん上に「手数料を引いても、これだけ得します」という金額が出ます。手数料のほうが大きい場合は、赤字で「損になります」と表示します。
金利ストレスの画面では、+0.5% / +1.0% / +2.0% と任意の上昇幅を、今から・5年後・10年後・15年後のいずれかで開始して試せます。5年ルール・125%ルールをオンにすると、未払利息が最大いくら積み上がるか、最終回にいくら残るかも表示します。買い切り120円、広告も通信もありません。
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