2026-08-06 / 仕事の道具
変動金利の5年ルール・125%ルールと未払利息の仕組み
「金利が上がったのに、毎月の返済額が変わっていない」——これは見落としではなく、多くの変動金利型住宅ローンに組み込まれた5年ルールと125%ルールの効果です。返済額が抑えられている裏で何が起きているのかを説明します。
先に結論
返済額が変わっていないからといって、利息の負担が増えていないわけではありません。5年ルールは返済額の見直しを5年に1度に抑える仕組み、125%ルールは見直し後の返済額を直前の1.25倍までに抑える仕組みです。本来払うべき利息が返済額の上限を超えると、その差額は消えるのではなく未払利息として元金に上乗せされます。
そもそも何が「見直される」のか
変動金利型の住宅ローンは、多くの金融機関で年2回、金利そのものを見直します。ここまでは規約通りにすぐ反映されます。問題はその先で、金利が変わっても毎月の返済額(口座から引き落とされる金額)自体は、すぐには変わらないという商品性を持つ金融機関が多いことです。この「返済額の見直し」に、5年ルールと125%ルールという2段階の歯止めがかかっています。
5年ルール — 返済額の見直しは5年に1度
金利は半年ごとに変わっても、返済額そのものは5年間据え置かれるという決め方です。この間に金利が上がった場合、返済額の内訳(元金にいくら充て、利息にいくら充てるか)の比率だけが調整され、口座から引き落とされる合計額は変わりません。
これは借りている人にとって、短期的な家計の急変を避けられるという利点があります。一方で、金利が上がったという事実そのものが、返済額の数字には5年間現れないということでもあります。明細を見ても「返済額 変わらず」としか分からないため、実際にどれだけ負担が増えているかは自分で確認しないと見えません。
125%ルール — 見直し後も直前の1.25倍まで
5年が経ち、いよいよ返済額を見直す番になっても、もう一段の歯止めがあります。新しい返済額は、それまでの返済額の125%(1.25倍)を超えてはならないというルールです。金利の上昇幅によっては、本来必要な返済額がこの上限を超えることがあります。その場合、返済額は125%までしか上がらず、超えた分は返済額に反映されません。
反映されなかった分は、どこへ行くのか — 未払利息
ここが最も見落とされやすい点です。反映されなかった利息は、消えたわけではありません。毎月の返済額のうち利息に充てる分を優先的に払い、残りを元金に充てる、という配分の中で、そもそも利息の総額が返済額を上回ってしまうことがあります。この上回った分が未払利息です。
未払利息は毎月の元金に上乗せされる形で繰り越されるため、元金がその月に想定より減らない、あるいは逆に増えるという状態になります。返済を続けているつもりでも、借入残高がなかなか減らない、あるいは一時的に増えて見えるのはこのためです。
最後にどうなるか — 完済時の一括請求リスク
未払利息が積み上がった状態のまま返済期間の最終回を迎えると、その時点で残っている未払利息と元金の残りを、最終回にまとめて請求されることがあります。長期間ゆるやかな返済額のまま過ごした結果、最後に大きな一括払いが発生するという構造です。この点は金融機関や商品によって扱いが異なるため、契約時の重要事項説明書やローン契約書で、未払利息が発生した場合の取り扱いを必ず確認してください。
自分のローンにこのルールがあるか確認する方法
- 契約時の金銭消費貸借契約書・重要事項説明書を確認する。「5年ごとに返済額を見直す」「見直し後の返済額は直前の125%を上限とする」という趣旨の条項があるかを探します。
- 固定金利期間選択型は対象外のことが多い。5年ルール・125%ルールは変動金利型に組み込まれていることが一般的です。固定金利期間中はそもそも返済額が変わりません。
- 金融機関によって扱いが異なります。125%ルールを設けていない商品や、未払利息の扱いが異なる商品もあります。一般論だけで判断せず、自分の契約でどうなっているかを確認することが必要です。
金利が上がったときに、自分で確認しておきたい数字
返済額が変わらないからといって安心せず、次の3つを金利上昇のたびに自分で計算しておくと、5年後・見直し後に慌てずに済みます。
- 今の金利で、本来はいくら返済額が必要か。返済額の上限(125%ルール)がなかった場合の金額と、実際の返済額の差を見ます。
- その差が、未払利息としてどれくらいのペースで積み上がっているか。積み上がった額は、いずれ元金に上乗せされます。
- 5年後・完済時点で、繰り上げ返済や借り換えでどこまで吸収できるか。先に数字を出しておけば、見直しのタイミングで慌てずに判断できます。
この仕組みを、隠さずに計算する
多くの住宅ローン計算アプリは、5年ルール・125%ルールの効果を内部処理として隠してしまい、「今の返済額」しか見せません。カエセルはこのルールをオン・オフでき、オンにしたときに未払利息がいくら積み上がるか、返済期間内に返しきれず最終回に一括でいくら残るかまで数値で表示します。金利が+0.5%/+1.0%/+2.0%上がった場合を同時に試算し、家計が持つかどうかを契約前・見直し前に確認できます。
買い切り120円、広告なし、通信なし、データは端末の中だけです。試算結果はあくまで目安であり、契約前には金融機関発行の正式な返済予定表を必ずご確認ください。