2026-08-10 / 仕事の道具
電線管のオフセット曲げ(S字曲げ)の計算 — 曲げ量とマーキングの出し方
配管が障害物にぶつかるときに使うのがオフセット曲げ(S字曲げ)です。オフセット量と曲げ角度から、2か所の曲げ位置をどう出すかを整理します。
先に結論
オフセット曲げは、同じ角度・逆方向の曲げを2か所作ることで、配管の向きを変えずに障害物をよける曲げ方です。オフセット量(H)と曲げ角度(θ)が決まれば、2つの曲げ位置の間隔(L)はL = H ÷ sin θで出せます。
オフセット曲げ(S字曲げ)とは
配管の途中に別の配管や梁があり、まっすぐ通せない。かといって大きく迂回すると、配管全体の向きが変わってしまう。こういうときに使うのがオフセット曲げです。
同じ角度で逆方向に2回曲げることで、配管の入る向きと出る向きを平行に保ったまま、必要なぶんだけ位置をずらします。くの字を2つ、向かい合わせに重ねたような形になるので「S字曲げ」とも呼ばれます。
計算式
避けたい障害物の高さ(必要なオフセット量)をH、曲げ角度をθとすると、2つの曲げ位置の間隔Lは次の式で出ます。
L = H ÷ sin θ
たとえば、50mmの障害物をよけたい場合、曲げ角度30°なら次のようになります。
L = 50 ÷ sin 30° = 50 ÷ 0.5 = 100mm
現場でよく使われる角度は22.5°・30°・45°の3つです。それぞれのsin値の目安は次のとおりです。
| 曲げ角度 | sin値の目安 | 50mmオフセットに必要なL |
|---|---|---|
| 22.5° | 約0.383 | 約131mm |
| 30° | 0.5 | 100mm |
| 45° | 約0.707 | 約71mm |
角度をどう選ぶか
角度が大きいほど、必要なLは短くなり、狭い場所でも収まります。そのぶん曲げがきつくなり、あとで電線を通すときの抵抗が増えます。角度が小さいほど曲げは緩やかになりますが、Lが長くなるため、それだけの直線区間が必要です。
スペースに余裕がない場所は45°、電線を多く通す・余裕がある場所は22.5°という選び方が現場ではよく使われます。
マーキングでずれやすい点
- 2つの曲げ位置を、同じ基準(背・芯・内のどれか)で測る。1つ目を背で測り、2つ目を芯で測ると、それだけでL全体がずれます。
- 1つ目を曲げたあと、180°回転させてから2つ目を曲げる。回転させずに同じ向きで曲げると、S字ではなくコの字になります。
- 回転させるときにねじれさせない。途中で管がねじれた状態のまま2つ目を曲げると、2つの曲げが同じ平面に乗らず、配管が平行にならなくなります。
計算値と現物がずれる場合
ここまでの計算は、配管の中心線を基準にした理論値です。実際に曲げると、ベンダーのシューの形状や管の伸び・スプリングバックによって、理論値と現物がわずかにずれることがあります。この個体差を試し曲げ1回で吸収する方法は電線管の曲げ寸法が現物と合わない理由と、合わせ方で説明しています。オフセット曲げでも、同じ実効半径の考え方がそのまま使えます。
マゲドリ
マゲドリは、日本のJIS電線管専用の曲げ寸法計算アプリです。試し曲げ1回で自分のベンダーの実効芯半径を逆算して記憶するので、計算値と現物のずれを縮められます。テンキー直接入力と±ボタンだけで操作できます。
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