2026-08-09 / 仕事の道具
電線管の曲げ寸法が現物と合わない理由と、合わせ方
計算式どおりに寸法を出したのに、曲げてみると数ミリ合わない。何度やっても同じ方向にずれる。これは計算間違いではなく、使っているベンダーの実際の曲げ半径が、カタログの値と違うために起きます。
先に結論
計算に使う曲げ半径は、ベンダーの個体ごとに違います。カタログ値をそのまま入れても合いません。試しに1回曲げて実測し、そこから逆算した「実効半径」を使えば、以降の計算が自分の道具に合います。
なぜ個体差が出るのか
曲げ半径は、ベンダーのシューの形状だけで決まるわけではありません。
- 管が曲げの途中で少し伸びる — 外側が伸び、内側が縮みます。伸び方は管種と肉厚で変わります
- スプリングバックがある — 曲げたあと、わずかに戻ります。戻り量は材質と曲げ角度で変わります
- 道具が摩耗する — 使い込んだベンダーは新品と同じ寸法になりません
- 力のかけ方に癖が出る — 同じ道具でも作業者によってわずかに変わります
これらをまとめて吸収するのが実効半径という考え方です。理論値ではなく、その道具でその人が曲げたときに実際に出る半径を使います。
実効半径の出し方
- 捨て材で90度を1回曲げる
- 曲げた管の寸法を実測する(管端から曲げの基準点まで)
- 計算で出るはずだった値と、実測値の差を見る
- その差から半径を逆算する
1回やっておけば、以降その道具ではずれません。管種ごとに1回ずつ取っておくと、より合います。E管とG管では肉厚が違うので、伸び方も変わるためです。
測る基準を統一する
ずれの原因として、実効半径の次に多いのがどこを測っているかの食い違いです。
- 背(外側) — 曲げの外側までの距離
- 芯(中心) — 管の中心線までの距離
- 内(内側) — 曲げの内側までの距離
図面がどれで書かれているか、自分がどれで測っているか。ここが合っていないと、半径ぶんまるごとずれます。作業の前に基準を決めて、全員で揃えるのが確実です。
日本の現場で使う単位と管種
海外製の計算アプリはインチと EMT / IMC / Rigid が前提です。日本の現場はミリメートルで、管種も違います。
- E管(ねじなし電線管)
- C管(薄鋼電線管)
- G管(厚鋼電線管)
- PF管・CD管(合成樹脂可とう電線管)
単位が違うだけでなく、管の外径も肉厚も規格が異なります。インチ前提の計算をミリに換算しても合いません。
現場でのコツ
- 印は管端からの累積距離で付ける — 曲げごとの相対距離で測ると、誤差が積み上がります
- 最初の1本は捨てるつもりで — 実効半径を取るための1本と割り切ると、結果的に早く終わります
- 同じ寸法を複数作るときは治具を作る — 毎回測るより速く、ばらつきも減ります
自分のベンダーを覚えさせるアプリ
マゲドリは、日本のJIS電線管専用の曲げ寸法計算アプリです。E管・C管・G管・PF管・CD管の寸法をミリメートルで内蔵しています。
中核は実測キャリブレーションです。試し曲げを1回して寸法を入れると、そこから実効芯半径を逆算して記憶します。以降の計算が自分の道具に合った値になります。ベンダーは複数登録して切り替えられます。測定の基準(背・芯・内)を選べて図で示し、管端からの累積距離で提示します。スライダーは使わず、テンキー直接入力と±ボタンだけにしました。買い切り120円、広告なし、通信なし、全画面日本語です。
マゲドリは現在 App Store 審査中です。公開されしだいこのページからリンクします。