2026-08-21 / 暮らしの道具
靴ひもがほどけやすいのは、結び方のせいかもしれません
結び直してもまたほどける。強く締めても数百メートルでゆるむ。実はふつうの蝶結び(ちょう結び)には、見た目がほとんど同じなのに強さが違う2種類の形があります。ほどける仕組みと、見分け方・直し方を説明します。
先に結論
靴ひもがほどけやすいのは、力の入れ方ではなく2回目の輪をどちら向きにくぐらせたかで決まります。同じ向きにくぐらせると弱い形(世間で「縦結び」と呼ばれる形に近い構造)になり、反対向きにくぐらせると強い形になります。見た目の違いはほとんどないため、多くの人は自分がどちらを結んでいるか意識していません。
なぜ「勝手にほどける」のか
靴ひもがほどける瞬間は、たいてい歩いている最中です。着地のたびに足首とひもの結び目には衝撃が伝わり、結び目はごくわずかに緩みます。同時に、垂れ下がったひもの先端は歩く動きに合わせて前後に振られ、慣性の力がかかります。この2つ――着地の衝撃で結び目が緩むことと、振られる先端が結び目を引っぱることが交互に重なると、結び目はじわじわとではなく、ある瞬間に一気にほどけます。これは靴ひもの結び目の壊れ方を調べた研究でも報告されている仕組みで、「気づいたら緩んでいた」のではなく、緩みがある程度たまったところで急に崩れるのが実際の壊れ方です。
この壊れ方のスピードは、結び目の形によって大きく変わります。弱い形は数回の着地で崩れ始めますが、強い形は同じ衝撃を受けてもかなり長く持ちこたえます。つまり「ほどけやすい人」と「ほどけにくい人」がいるのは、脚の動かし方の違いというより、結んでいる形の違いによるところが大きいということです。
強い形と弱い形の見分け方
ふつうの靴ひもの結び方は、まず「ひと結び」で交差させ、そのあと両端で輪をつくって、もう一度くぐらせて蝶結びにします。ここで最初の交差と、2回目にくぐらせる輪の向きが逆であれば強い形になり、同じ向きであれば弱い形になります。
- 強い形 — 最初の交差が右上→左下だったとき、2回目の輪は左上→右下にくぐらせる(向きが入れ替わる)。結び目を上から見ると、輪と結び目の軸がきれいに十字に近い形で交わります。
- 弱い形 — 最初と同じ向きでもう一度くぐらせる。結び目を上から見ると、輪が結び目に対して斜めに流れたような形になり、片方の輪をひっぱるだけでスルッと解けやすくなります。
言葉で追うより、実際に自分の靴で結んでみて、結び目の上からの見た目を確認するのがいちばん早い方法です。ふだんの結び方が弱い形になっている場合、直すのは「1回目と2回目で、輪をくぐらせる向きを逆にする」だけで、手順自体は増えません。
それでも不安なら
- 強い形で結んだうえで、さらに二重に結ぶ。強い形の蝶結びは、それだけでもかなりの衝撃に耐えますが、ランニングや現場作業など着地の回数が多い場面では、結び目を二重にするとさらに安定します。
- ひもの長さを合わせる。片側だけ長く垂れていると、その先端が振られる力が大きくなり、結び目を緩める方向に働きやすくなります。
- ひもの素材を見直す。表面がなめらかで滑りやすい丸ひもは、同じ結び方でも平ひもより緩みやすい傾向があります。
結び方は、靴ひもだけではありません
ムスベルは、結び方を名前ではなく「何をしたいか」から探せる3D結び方辞典です。「靴ひもをほどけにくくしたい」のような暮らしの結びから、キャンプでの張り綱、荷物の固定まで、11の場面×33のやりたいことから2タップで着きます。動かす端を朱色、動かさない側を藍色に塗り分けたアニメーションで、締め込んで形が決まるところまで見られます。
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